フランスルーアンの街で服づくりをするデザイナー、
ソリアノ綾佳さんからのお便りをご紹介します。
ルーアンは、パリから電車で1時間ほどの場所にある街。
この街でソリアノさんは自身の目で選んだリネンで服を仕立て、
年に一度リリース。エンベロープでもその作品をご紹介しています。
ソリアノさんについての紹介記事はこちらから »
2025.11.13
愛犬トラと散歩をすると、落葉の絨毯が日に日に
厚みを増してきたのを感じます。
もう初冬と呼べる季節になったでしょうか、
やはり秋から冬への移ろいは早いですね。

犬友だちのおじいさんが何やら拾い物をしているのを見かけ、
ボンジュールと声をかけてみると、
両腕いっぱいに松ぼっくりを抱えていました。
なんでも、松ぼっくりは落ちて時間が経つと腐ってしまうので、
新鮮なうちに拾ってきれいにし、自分で加工して
ノエルの飾りを作るのだとか。
「昔はみんなこうして自然のものを拾ったり、
畑で穫れるものを利用してノエルの支度をしたの。
年が明けたら土に還す」とお話ししてくれました。
今年は娘一家がやってくるのだと嬉しそうです。
少しずつお家を整えながら、その日を待ちわびているのだそう。
おじいさんが連れている犬もまたおじいさんで、
立ち話の中でワンちゃんの健康状態のことを聞き、
この冬を無事に越せるよう工夫を凝らしているとも教えてくれました。
歩幅を合わせながら、お互いを労わるように歩く2人。
こちらはズンズン進むトラを追いかけ、
挨拶もそこそこになってしまいました。
あれからずっと共に過ごす時間の愛おしさについて考えています。

さて、私もノエルの準備をそろそろ始めようかしら、
と週末のたびに思っています。
夏に家族で集まった際にリネンシーツの心地よさについて
話していて、義母が量販店の寝具売り場のほとんどが綿製品で、
リネンのものはあっても1種類、それもコットンに比べると
だいぶ値段が張るので本当によいかどうかわからないまま
手を出せない、と言っていました。
そう聞いて、私の影響ですっかりリネン愛が強くなった
夫がその素晴らしさについて力説していましたが、
あの時から義母のクリスマスプレゼントには
シーツを縫うぞ!と決めていたのです。
できれば内緒でつくって喜ぶ顔が見たい!
それにはベットサイズを知る必要がありますが、
人の寝室にこっそり入って採寸するわけにはいかないので、
ヘンテコな言い訳をしてどうにか測らせてもらいました。

お義母さんもうっすら気づいているだろうな。
私はリネンで主にお洋服をつくっていますが、
その魅力はなんといっても素材の気持ちよさにあると思います。
お洋服ももちろん良いのですが、リネンの寝具で
横になる快適さといったら!
我ながらナイスなプレゼントを思いついたものだと、
贈り物をするのが今から楽しみです。
幅広で織り目がキュッと詰まった理想的な生地を
手に入れたので、週末の時間があるときに一気に
縫ってしまおうと思いながら、もうひと月ほどが過ぎました。
うかうかしていたら、その日になってしまいますね。
来週こそやると決めています。


ENYO ソリアノ
http://laviedenyo.blogspot.com/